やっちゃだめ!飲酒運転

飲酒運転とは

飲酒運転は飲酒後にそのアルコールの影響がある状態で車両などを運転する行為をいいます。交通法規による規制により、飲酒などにより血中または呼気中のアルコール濃度が一定数値以上の状態で運転することを特に酒気帯び運転といい、数値に関係なく運転能力を欠く状態での運転を特に酒酔い運転といいます。酒に含まれるアルコールは、中枢神経に作用し、脳の神経活動を抑制する物質です。つまり飲酒という行為は、運動機能の低下、理性・自制心の低下、動体視力・集中力・認知能力・状況判断力の低下等を生じさせるのです。一方運転という行為は、免許制をとっていることから分かる通り、運転者本人、同乗者、周辺の歩行者らの生命にも関わるくらいの大きな危険を伴う行為です。この為、多くの国において免許の有無にかかわらずアルコールの影響下にある状態での運転をいかなる場合でも禁ずる法律が作られています。日本では、道路交通法第65条第1項で、「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と規定されていて、違反した場合は取締りの対象になります。同法上の「車両等」には自動車やオートバイだけでなく、自転車等の軽車両、トロリーバス、路面電車、牛馬なども含まれます。

飲酒運転の種類

道路交通法においては、飲酒運転の罰則について、酒気帯び運転と酒酔い運転の2種類に分類しています。

酒酔い運転

酒酔い運転は、アルコール濃度の検知値には関係なく、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」である場合が該当します。具体的には、直線の上を歩かせてふらつくかどうか、視覚が健全に働いているか、運動・感覚機能が麻酔されていないかを言動などから判断し、認知能力の低下がないかなどの点が総合的に判断されます。一般に認識が薄いですが、自転車などの軽車両の運転も違法であり、刑事罰の対象となります。2002年5月末まで酒酔い運転は、違反点数15点となっていましたが、法改正により同年6月に25点、さらに2009年6月には35点とかなり厳しいものに代わりました。即座に免許が取り消されるだけでなく、免許の欠格期間(再受験が受けられない期間)も大幅に長くなりました。

酒気帯び運転

酒気帯び運転は、血中アルコール濃度またはそれに相当するとされる呼気中アルコール濃度が一定量に達しているかという、形式的な基準で判断されます。このような判断基準の違いから、運転者の体質によっては、酒気帯びに満たないアルコール量でも酒酔い運転に該当することもあります。この範囲の自転車などの軽車両の運転については、違法ではありますが基本的に罰則はありません。それ以外の車両の場合、2002年5月末までは呼気中アルコール濃度0.25mg以上で違反点数6点となっていましたが、2002年6月以降は、0.15mg以上で違反点数6点、0.25mg以上で違反点数13点となり、さらに2009年6月以降は0.15mg以上で違反点数13点、0.25mg以上で違反点数25点と、年々重い処分が課せられるようになっています。また、1つの行為で道路交通法の複数の規定に違反することとなった場合には、通常最も重い行為の違反点数などが適用されますが、酒気帯び運転時に違反または事故を起こした場合には、酒気帯び点数が加重された違反点数が適用されます。そのため0.25mg未満であっても酒気を帯びた状況では、違反が重大とはいえない場合でも、即座に免許の取消しに該当する場合があります。

刑事罰

2007年9月19日の道路交通法改正施行により、酒酔い運転の罰則が「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、酒気帯び運転の罰則が「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」へとさらに厳罰化されました。また、飲酒検知を拒否した場合も「3月以下の懲役又は50万円以下の罰金」と強化されました。自動車の運転に関し、運転者に飲酒運転を下命、または容認した自動車の使用者も処罰されます。さらに、飲酒運転をするおそれがある者への車両または酒類の提供をした者や、その者に同乗し、または運送を要求したものも個別に処罰されることになりました。

交通事故の場合

飲酒検問ではなく交通事故の発生により酒酔い・酒気帯び運転の事実が発覚した場合には、より厳重な罰則が適用されます。例として、死亡事故を起こした場合に酒酔い運転だった際には違反点数55点が課せられ、運転免許試験受験の欠格期間が10年となります。また、「危険運転致死傷罪」が適用され、有罪となった場合には、厳罰(1年以上の有期懲役)に処されます。飲酒事故に対する罰則の強化は、その場から一旦逃げ去ることでひき逃げの罰則を受けたほうが、罰則が軽くなる事態が生じていました。これを防止するため、ひき逃げに対する罰則も強化されています。また、飲酒時点の時間や飲酒量と、出頭時間から、運転時の血中アルコール濃度を計算して推定することができるようになり、酒気が抜けた後の出頭などにおいても、飲酒運転としての検挙が可能になりました。

民事責任

飲酒運転により事故を起こした場合、交通事故の損害賠償の過失割合について、通常よりも飲酒運転者の過失が大きく認定されます。自動車保険では、飲酒運転をした運転手の怪我や車両の損害に対しては、保険金が支払われない場合もあります。事故を起こした運転者と車の使用者が別である場合は、使用者は「使用者責任を問われ」、連帯して賠償責任に服するのが通例です。

社会的制裁

2006年に起きた福岡飲酒運転事故以降、民間企業では飲酒運転をした社員や職員は原則として即座に懲戒解雇・懲戒免職とする所が多くなっています。2007年5月には、山形県議会議員が飲酒運転で摘発され、県議会が全会一致で可決して辞職勧告決議に従わないため、政治倫理審査会が勧告の受け入れと辞職まで本会議や委員会への出席を自粛するよう求める審査結果を出しました。また、2010年4月に酒気帯び運転で物損事故を起こしたとして懲戒免職となった京都市立中学校の教頭は、退職手当の全額を不支給としたことが違法に当たるとして、京都地方裁判所に処分の取り消しを求めて訴えを起こしました。一審では「元教頭の永年の功績を全面的に抹消するほどの背信行為とはいえない」として、裁量権の濫用に当たり違法であると訴えを認めましたが、二審の大阪高等裁判所は「人身事故の危険性もあり、元教頭の行為は極めて悪質」とした上で、「裁量権の濫用ではない」として、原告逆転敗訴の判決を言い渡しています。スポーツなどの大会では、個人やチームメンバーの飲酒運転が発覚すると出場取り消しなどの措置がとられることもあります。第72回選抜高等学校野球大会では、敦賀気比高等学校の部員が飲酒及び無免許の運転で自動車事故を起こしたことで、同校は出場辞退に追い込まれました。

運転者以外の人の責任

刑事罰

飲酒運転は運転者が道路交通法違反で罰せられますが、2007年9月19日の道路交通法改正施行により、飲酒運転をするおそれのある人に車両を提供した人、または酒類を提供した人、飲酒運転の車両に同乗したり運送を依頼した人に対しても個別に処罰されることが明確化されました。

  • 車両の提供・・・酒酔い運転:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金、酒気帯び運転:3年以下の懲役又は50万以下の罰金
  • 酒類の提供・・・酒酔い運転:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、酒気帯び運転:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
  • 同乗等・・・酒酔い運転:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金、酒気帯び運転:2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

食品にも注意

アルコール飲料を飲んだとき以外にも、酒類を使った洋菓子や奈良漬のほか、ノンアルコールビールなどを飲んだりした場合にも、体質や摂取量によっては飲酒運転になる可能性があります。ノンアルコールビールと書かれているものでも、「アルコール分0.00%」と表示されているもの以外は、0.1%から0.9%程度のアルコールが含まれている場合もあるため、注意が必要です。また、栄養ドリンクにも微量ですがアルコールが含まれているものもあります。そのほかにもマウスウォッシュなどの洗口液にもアルコールが含まれている場合がありますので、アルコールに弱い体質の人は十分注意して使用してください。